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カウンセラーブログ

    • 2024.11.01
      • 交流分析

      交流分析 / 心理ゲーム ① 犯罪、闇バイト実行犯を交流分析から考えてみた(警官と泥棒)

      群馬県伊勢崎市の公認心理師、心理カウンセラーの梶間久美子です。

      今回は、交流分析の理論の中から『心理ゲーム』を取り上げたいと思います。

      『心理ゲーム』については人生脚本(life script)⑥/ 人生脚本の形成(児童期)の回で扱いました。

      どうぞ、そちらもご覧ください。

      人の時間の過ごし方の6つのうちのひとつが『心理ゲーム』でした。

      ゲーム分析は交流分析の理論において大きな位置を占めます。

      心理ゲームとは

      ①何度も繰り返し行われる

      長い時間を費やしす

      最後はお互いに嫌な気分で終わる

      このような、人との非生産的なやり取りのことを言います。

      人は誰でも無意識に心理ゲームをやっています。

      心理学で言う『ゲーム』は、パソコンやスマホなどの機械や物質を用いたゲームとは違います。

      長い時間を使って最後はお互いに嫌な気持ちで終わるやり取りを『ゲーム(心理ゲーム)』と言います。

      そして、全ての心理ゲームが大人になった私たちには不適切な、子どもの頃の戦略の再演であるといえます。

      『心理ゲーム』は、種類がたくさんあります。

      代表的な心理ゲームには名前が付いています。

      数え切れないくらいあるので、名前が付いてない心理ゲームもあると言われています。

      今回は、【イエスバット】と、後で【警官と泥棒】という心理ゲームについてお話しします。

      先ずは『心理ゲーム』をイメージしてもらいやすいように、代表的な『イエスバット(はい、でも)』というゲームについて書きます。

      イエスバット(はい、でも)

      例えば、あなたの友人で「悩んでいるので相談したい。アドバイスがほしい」という人がいます。

      あなたは「もちろんいいよ。相談のるよ。私ができるアドバイスはするよ」と会話が始まりました。

      あなたは自分なりに考えてアドバイスをします。「○○がいいと思うよ。私には効果があったよ」と。

      それに対して友人は「それいいね。でも○○…」と返してきます。

      あなたは自分なり考えて友人に良かれと思って別のアドバイスをします。

      それに対して「それもあるね。でも○○…」と返事が返ってきました。

      更にあなたは、別のものを考えて「そしたら△△はどう?専門家が△△が効果があるって言ってたよ」

      それに対して友人は「専門家が言ってたことならいいかもね。それってでも○○…」

      「でも」が3回続きましたね。

      「でも」が3回以上続くやり取りを『イエスバット(はい、でも)』のゲームと言います。

      相談のネタは変わるかもしれないけれど、その友人と会うたび「でも」で返されてるかもしれません。

      アドバイスしているあなたは、だんだん無気力になったり、沈黙してしまうかもしれません。

      ときには「これだけ言ってあげてるのに!」と怒りを爆発させる羽目になることもあります。

      会話のスタートはいい感じだったのに、最後はなんだかお互いに嫌な感じ。

      あなたも経験があるんじゃないでしょうか。

      「ゲーム」の定義通りで、繰り返し行われ長い時間を使って、最後に味わうのはお互いに嫌な気持ちで終わります

      お互いに最後は嫌な気持ちで終わるやり取りなのに、心理ゲームって親密になりたい人とするんです。

      不思議だとおもいませんか。

      嫌いだから心理ゲームをするんではなくて、ほんとうは親密になりたい相手とするんです。

      パートナーと毎日毎日、心理ゲームで嫌なやりとりしてるのに別れないで何年も何十年と一緒に居る人もいるのは、その一例と言えます。

      そして、どんな心理ゲームのも裏のメッセージがあります。

      『イエスバット(はい、でも)』の裏のメッセージは『あなた(親)の言うことなんか聞くもんか』という子ども時代からの立場を証明したいというのが、このゲームの目的なのです。

      もう相手は親ではないのに、私たちは今でも心では相手を親と捉えて心理ゲームをしてます。

      もちろん、無意識に誰でも心理ゲームは日常でやっています。

      心理ゲームと甘え

      心理ゲームには甘えが結びついています。

      子どもの究極は【甘え】です。

      ”甘え理論”を提唱した精神分医の土居建郎先生は、屈折した甘えがさまざまな行動様式をとることを論じていらっしゃいます。

      私たちは親に甘えたいのです。

      子どもの頃は、甘えたくて甘えたくてたまらないのです。

      子どもだもの親に甘えたくて当たり前なんです。

      けれども、甘えたくても甘えらえないとか、自分の甘えが当てがはずれたりすると、【屈折した甘え】となって行動化します。

      ●すねる、ひがむ、ひねくれる、気にする、こだわる、とらわれる、気がすまない、くやむ、うらむ、食ってかかる、かみつく、やけをおこす、ふてくされる、なめてかかる、無関心、ひとりよがり、遠慮する、邪魔意識、被害者意識、など。

      すねたり、ひがんだり相手に背を向けるような行動をしたり、

      食ってかかる、かみつくなど攻撃的な形をとることもあります。

      こだわる、気がすまないなどの強迫傾向にも甘えが関係しています。

      甘えたくてもあまえられないために、このような行動様式が固定化されたものが『心理ゲーム』ともいえます。

      ゲームの分類

      交流分析では、心理ゲームをいろいろな立場から分類します。

      ここではエリック・バーンによって提唱されたものを書きます。

      軽いものから順に第1度、第2度、第3度のゲームと呼んで区別します。

      第1度のゲーム

      非常に軽い気持のゲームで、ちょっと怒ったとか、ちょっと突っかかったとか、後で笑って過ごせるようなものであまり害がない。

      ちょっと不愉快な気持ちは残るけれども社会的な名声が傷つけられるほどでもない。

      また、法律に触れるわけでもないし、病気になるわけでもない。

      ちょっと嫌な思いをするという感じの軽いゲームのことを第1度のゲームと言います。

      第2度のゲーム

      嫌な気持ちが数日間つづいたり、ダメだという感じがなかなか抜けきれなかったりするもの。

      他人に知られると社会的制裁を加えられるという特徴を持ち、大部分の場合、人に知られないようにと努力し、何とか隠しおおしたい。

      肉体的損傷ということはない。

      政治家の不倫、裏金などは第2のゲームにあたるでしょう。

      第3度のゲーム

      法律上の罪を犯す人々。

      他傷、重度の薬物依存、アルコール依存などが見られます。

      第3のゲームでは、肉体的損傷があります。

      とても非公開ではすまされず、社会的、法的制裁を受けるという性質のものです。

      エリック・バーンの理論からすると、これが心理ゲームの重症度を判断する時のおおよその基準になります。

      警官と泥棒

      心理ゲームのひとつに【警官と泥棒】があります。

      別名「追跡させ逃避する掴まりたいゲーム」と言います。

      警察に追跡させながら自分は逃げている、けれど内心では掴まりたいと思いながら逃げている。

      逃げるスリル。

      裏のメッセージは『私を掴まえて』です。

      例えば、未成年に禁じられている喫煙、飲酒、自動車運転などをして、親や教師を憤慨させたり、わざと捕まるようなことをする。

      捕まると残念な顔をするけれど、内心では注目という報酬を得ています。

      あくまでも梶間の考えですが、

      いま問題になっている組織犯罪、闇バイトの実行犯は【警官と泥棒】の第3度のゲームではないかと分析しました。

      私個人は、ニュースを見るたびこの犯罪行為にとても悲しい気持になります。

      傷つけられらり、奪われたりしてもいい人なんて存在しません。

      人は誰でも大切にされるべき存在です。心・身体・所有物は守られるべきものです。

      そして私はなぜこの記事を書こうと思ったのか、今気づきました。

      犯罪行為が怖いし、悲しい。だから何か言葉にしたかった。

      今の私にできることはブログで想いを綴ること。

      エリック・バーンは1950年代に交流分析を提唱しましたが、もう1950年代には、現在問題になっているような重度である第3度のゲームをする人々がいたのが分かります。

      いいゲーム

      『いいゲーム』というのもあります(十分な研究はこれから)

      世の中の心理ゲームのからくりに気づいている人が、それらの複雑な動機を超えて、相手の益を図り、自分も自尊感情を高めるような行動をとる場合だそうです。

      少しでも『いいゲーム』の時間で過ごしたいものです。

      こころの保健室ができること

      心理ゲームは

      ①何度も繰り返し行われる

      ②長い時間を費やしす

      ③最後はお互いに嫌な気分で終わる

      人との非生産的なやり取りのことでした。

      実はカウンセリングを受けていくと、これまで日常化していた人との嫌なやり取りが減っていきます。

      カウンセリングによって『心理ゲーム』をする時間が減って、その代わりに人との関わりが心地良いものになっていきます。

      変化の理由にはいろんな要素がありますが、

      幼少期の親とのことをが解決されていったり、未消化の気持ちや感情をカウンセリングで丁寧に拾い上げて、ただただ受け入れていく、ただただ受け入れられていくことが、人との関わりにも”いい影響”となって現れてきます。

      こころの保健室で実施しているカウンセリングは【屈折した甘え】の解決支援の一面があります。

      カウンセリングは、人との嫌なやり取り(心理ゲーム)から心地良い親密な関係への変化を可能にします。

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執筆者プロフィール
梶間久美子
公認心理師
心理カウンセラー
梶間 久美子
KUMIKO KAJIMA
こころの保健室のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
梶間久美子は、愛着の無意識レベルのことから、嫌われる怖さ、居場所のなさ、劣等感、自信がないなどの自己に関するお悩みや、様々な人間関係のお悩みなどの根本解決を支援する公認心理師です。
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