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  • 2024.10.02

    交流分析 人生脚本 / ストロークのからくり

    群馬県伊勢崎市の公認心理師、心理カウンセラーの梶間久美子です。

    これまで人生脚本に関するブログをシリーズとして解説しています。

    人生脚本はほんとうに奥深く、発達段階ごとに素材を変えながら複雑に形成されていきます。

    『人生脚本(life script』①~⑤の記事の中で、度々登場している【ストローク】ですが、

    乳児期・幼児期・児童期・成人のどの段階においても【ストローク】は人生脚本に大きな影響があるので、今回はこれまでとは違う角度から、これまでよりも詳しく解説したいと思います。

    ストロークとは

    ストロークとは、ある人の存在や価値を認めるための言動や働き(態度、行動)のことを指します。

    すなわち人から得る全ての刺激がストロークです。

    一人でゲームをしている、一人でYouTubeを見ている、一人でテレビを見ている、一人で本を読んでいるなど、このような状況ではストロークはありません。

    何かしらの刺激はありますが、人からの刺激とは違います。

    例えば、テレビの出演者はあなたの存在を認識してないし、存在を認識してないということはあなたの価値も認めていません。

    だから、ストロークとは違います。

    ストローク=心の栄養になるもの、です。

    人の心身の発達にはストロークが欠かせません。

    例えば、ネグレクトはノンストロークです。

    後に説明しますが、ノンストロークとはストロークが無いこと。

    心の栄養になるものが何も得られない状態です。

    ストロークが無いと、心に栄養がもらえないわけですから情緒的な成長に悪影響がでてしまいます。

    ストロークが無いと、年齢相応な体の成長には至らいかもしれません。脳の発達にも影響があることが発見されています。

    乳児、幼児、から成人になっても毎日毎日、私たちにはストロークが必要なのです。

    意識して無いかもしれませんが、人はストローク不足になると、人からの刺激を得ようとします。

    一人でゲームは楽しいけれど、一人でYouTube見てるのも楽しく過ごせるけれど、

    ストロークが無いから寂しくなったり、元気がなんとなく無くなっていったり、体調を崩しやすくなったりします。

    だから、誰かとLINEをしたくなったり、電話をしたくなったり、会いたくなったりします。

    それは私たちはストロークが欲しいし、必要だからです。

    生きるために人からの刺激を求めて、心の栄養不足を解消しようとします。

    ストロークの分類

    ストロークは9に分類されます。

    ▼肯定的(+)なストローク⇒相手に心地よくよさや満足感、そして存在意味を感じさせるもの

    1.肯定的(+)な非言語的ストローク→肯定的なストロークを態度・表情・雰囲気などの非言語で与える

    2.肯定的(+)な言語的ストローク→肯定的なストロークを言葉で与える

    ▼否定的(-)なストローク⇒相手に不快感を与え自尊感情を損なわせる

    3.否定的(-)な非言語的ストローク→否定的なストロークを態度・表情。雰囲気などの非言語で与える

    4.否定的(-)言語的ストローク→否定的なストロークを言葉で与える

    5.ノンストローク⇒ストローク無し。否定的なストロークより辛いもの

    ▼条件付きストローク⇒相手の行為や業績と引き換えに与えられるもの

    6.条件付き 肯定的(+)ストローク

    7.条件付き 否定的(-)ストローク

    ▼無条件のストローク⇒その人の存在や人格そのものに対して与えられるもの

    7.無条件の 肯定的(+)ストローク

    9.無条件の否定的(-)ストローク

    に分類されます。

    人は非言語で与える方が心に深く入ります。

    言葉で言われるよりも、親の表情・態度・雰囲気の方がプラスであろうがマイナスであろうが子どもの心には深く残ります。

    各ストロークの具体的な例

    1.肯定的(+)な非言語的ストローク→肯定的なストロークを態度・表情・雰囲気などの非言語で与える

    おんぶ・抱っこ・撫でる・抱きしめる・見守る・さする・傾聴する・うなずく・任せる・信頼する・握手をする・見つめる・微笑む・添い寝をする・関心を持つ・真心で接する・拍手する・保護する・会釈する・目を見る・秘密を守る・尊敬する、など。

    2.肯定的(+)な言語的ストローク→肯定的なストロークを言葉で与える

    ほめる・励ます・挨拶する・お伺いを立てる・一緒に遊ぶ・話しかける・仲間に誘う・お礼を言う・感謝の意を伝える・賛成する・許してあげる・教えてあげる・認める・間違いを許す・ねぎらう・相談にのる・許可する・勇気づける、など。

    3.否定的(-)な非言語的ストローク→否定的なストロークを態度・表情・雰囲気などの非言語で与える

    叩く・つねる・蹴る・げんこつ・お尻を叩く・抑える・押す・見下ろす・にらむ・顔をしかめる・嫌な顔をする・眉をひそめる・機嫌がわるくなる・ねがえる・嘲笑する・恥をかかせる・自由を奪う・思考や感情や行動をコントロールする、など。

    4.否定的(-)な言語的ストローク→否定的なストロークを言葉で与える

    𠮟る・馬鹿にする・けなす・責める・反対する・悪口を言う・不平不満を言う・文句を言う・非難する・命令する・禁止する・強制する・催促する・噓をつく・しらをきる・信用しない・噂話・陰口・邪魔する・軽蔑する・侮辱する・秘密をばらす、など。

    5.ノンストローク-ストローク無し。否定的なストロークより辛いもの

    無視・無関心・約束を守らない・仲間はずれ・目をそらす・そっぽ向く・与えない・聞こえないふりをする・返事をしない・取り合わない・注意しない・ほったらかす・挨拶しない・言うことをきかない・メールや電話の返事をしない・

    (子どもに対して)抱っこしない・食事を与えない・話しかけない・お風呂に入れない・病院に連れて行かない、など

    (パートナーに対して)愛情表現をしない

    6.条件付き 肯定的(+)ストローク

    「勉強ができたからいい子だ」「成績が上がれば、あなたを認める」「親の言うことを聞くから、あなたは可愛い」「100点を取ったら、お小遣いをあげよう」

    7.条件付き 否定的(-)ストローク

    「成績が上がらないと、あなたを認めない」「勉強しない子は嫌いだ」「仕事ができないと、あなたを認めない」「100点を取らないと、お小遣いをあげない」など。

    8.無条件の肯定的(+)ストローク

    「勉強ができてもできなくてもあなたを認めるよ」「生まれてきただけで価値があるよ」「あなたがいてくれるだけで幸せ」「いつもとっても素敵だね」など。

    9.無条件の否定的(-)ストローク

    「例え何をしようが、あなたを認めない」「あなたは何のいいとこもない」「お前なんか生まれてこなきゃよかった」「あなたは、いてもいなくてもどっちでもいい」など。

    人は否定的(-)ストロークでも欲しい《ノンストローク(無視)されるよりまし》

    人にとって、最も辛いストロークはノンストロークです。

    意外かもしれませんが、ノンストロークは否定的(-)のストロークよりも辛いものです。

    幼い子が、親から𠮟られても𠮟られても、また𠮟られるようなことをするのを見たり聞いたりしたことがあると思います。

    その子は、親から否定的なストロークを与えられていますね。

    どうして幼い子は、わざわざ親に𠮟られる、否定的なストロークをもらうことを繰り返すんだと思いますか?

    それは、「もう肯定的なストロークがもらえない。そしてこのまま無視されるよりまだ否定的なストロークをもらえる方がまし」だからです。

    否定するには、その子を一瞬でも見る必要があります。

    否定的なストロークを渡すには、一瞬でもその子に注目したり、関心を持つ必要があります。

    子どもからしたら、無視・無関心(ノンストローク)よりも、否定的な刺激をもらえる方がまだ心の栄養になるのです。

    「いい子にしていても、自分のこと見てくれないし、ほめてもくれない。

    けれど悪いことした時だけは、お母さんが僕のことだけ見てくれる。

    いたずらした時だけは、お父さんが自分に注目してくれる」

    「下のきょうだいにしかお母さんは世話してくれない。お母さんは私には興味がないんだ。

    きょうだいに意地悪した時だけはお母さんが真剣に私だけに関心を持ってくれる」

    親に𠮟られたり、怒られたりしてるのに、どことなく嬉しい気持ちなるのです。

    こんなふうにストローク不足になると、否定でもいいので人は刺激を与えてもらえることをします。

    もしお子さんが、𠮟られるようなことを繰り返していたら

    肯定的なストロークが不足しているサインかもしれません。

    サインに気づいたら肯定的ストロークを渡してあげてください。

    特に、無条件の肯定的ストロークは最も満足感を得られるものなので意識して渡してあげてください。

    Aさんは、思春期に万引きをするようになりました。それまで非行などしたことなかった子です。

    万引きはとうとう発覚してしますのですが、Aさんはこの頃を振り返りながら教えてくれました。

    「もともと両親はきょうだいにしか関心がないんだぁと思っていた。きょうだいが大学受験で、お父さんもお母さんもきょうだいにしか興味がなかった。昼間は仕事でいないし、休みはきょうだいの受験のことか、夫婦で遊びに行ってしまう。私が何してようが見てないから怒られもしない。私はいてもいなくてもどっちでもいいんだなって感じてました。万引きが見つかって親の関心が私に向いたときなんだか嬉しかった」(事例発表に承諾を得ています)

    大人だってそうです。

    「愛情表現は無い。話しかけても返事も無い。スマホいじって目も合わせない。

    髪を切っても気づかない、美味しかったもなければ、ありがとうも無い」

    これは、パートナー間でのノンストロークですね。

    けれど相手にとって嫌なことすると反応がかえってくる。

    反応がかえってくるということは『あなたがここにいます』という承認の証拠です。

    否定的なストロークでも、人は誰もいないところでは与えません。

    だから、否定的なストロークでも、相手が自分の存在を認めていることになります。

    人は、無視されるくらいなら、喧嘩でもいいからストロークが欲しいと求めるものなのです。

    ストロークのからくり

    ストロークにはからくりがあります。

    肯定的なストロークを相手に渡すとします。

    渡されて受け取った方は肯定的なストロークが貯まります。受け取れば、受け取るほどプラスのストロークは貯まっていきます。

    否定的ストロークを相手に渡すとします。

    渡されて受け取った方は否定的ストロークが貯まります。受け取れば、受け取るほどマイナスのストロークが貯まります。

    そして、ストロークは渡した側も、渡すものが貯まります。

    乳児や幼児に、抱きしめる・見つめる・微笑む・ほめる、など肯定的なストロークを渡していると、渡した側のお母さんやお父さん自身にも肯定的なストロークがどんどん貯まっていきます。

    逆に、叩く・にらむ・顔をしかめる・𠮟る・馬鹿にする・責めるなど、否定的なストロークを渡していると子どもにもマイナスが貯まっていくのと同時に、渡している親自身にもマイナスのストロークがどんどん貯まってしまいます。

    人は、貯まったものを相手に渡しますから

    プラスのストロークが貯まっている人は、相手にもプラスのストロークを渡す。そこでまたプラスが増える。

    マイナスのストロークが貯まっている人は、相手にもマイナスのストロークを渡す。そこでまたマイナスが増える。

    他にもからくりがあります。

    それは、マイナスのストロークが貯まっている人は、プラスのストロークがきた時に受け取るのが困難なことです。

    プラスが来たなら受け取ればいいじゃない。と思うかもしれませんね。

    子どもの頃、いつも周りの大人から責められたり𠮟られりのマイナスのストロークを渡されてきて、マイナスが貯まっている人は、

    大人になって誰かから褒められても「いえいえ」とプラスのストロークを拒否しまう。

    けれど、マイナスのストロークがくると拒否しないで受け取る。

    だから、どんどこマイナスのストロークが貯まっていきます。

    人から肯定的なストローク(+)が渡されたら、「ありがとう」と遠慮なく受け取りましょう。

    お互いがプラスの心の栄養が貯まっていきますよ。

    ストローク経済の法則

    先に書いた、ストロークのからくりは

    クロード・スタイナー(Steiner . C.)が提唱したストローク経済の法則です。

    =スタイナーのストローク銀行=

    「富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しくなる」

    ストローク銀行のプラス(肯定的)が多い人は、人に対してもプラスのストロークを発することができる。

    マイナス(否定的)のストロークが多い人は、人に対してプラスのストロークを発することが難しくなり、逆にマイナスのストロークを発しやすくなる。

    ストロークに対する基本的欲求

    乳児と幼児、成人の発達段階ごとにそれぞれストロークに対する基本的欲求を持っています。

    ▼乳児期の基本的欲求はスキンシップを中心とした『接触欲求』です。

    この欲求が満たされない場合、心身への悪影響が表れてしまいます。

    乳児にとって『接触欲求』が満たされた場合は、安定した自己が育まれ、健全な人間関係が構築できるようになる、そして世の中に対しても基本的信頼感があります。

    ▼幼児の基本的欲求は自身の存在や価値を認めてもらう『承認欲求』です。

    幼児にとって『承認欲求』が満たされたか否かは、後の自信に繋がります。

    自己を肯定できるか、それとも自己否定感でいっぱいになるか。

    乳児期・幼児期にプラスのストロークで欲求を満たせたならば、プラスのストロークがある人を選ぶという人生脚本を形成していくでしょう。

    逆に、マイナスのストロークで欲求を満たしてきたならば、マイナスのストロークで自分と関わる人を選んでいくという人生脚本を形成していくかもしれません。

    Bさんは、誰かの悪口ばかりを言う傾向の人と仲良くなります。

    Bさんにとって悪口はいい気分ではないので自分は言いません。誰かが言う悪口の聞き役になります。

    悪口はマイナスのストロークですね。

    どうしてBさんはマイナスのストロークがいっぱいの人やシーンに居ようとするのでしょうか。

    Bさんは小さい頃、お母さんが言う悪口の聞き役でした。

    お母さんが誰かの悪口を言っている時だけはお母さんと二人だけで居られた。お母さんが自分だけものになったような感覚でなんだかホッと安心できた。

    Bさんは自分のことがカウンセリングでだんだんと分かってきました。(事例発表を承諾済み)

    基本的欲求に対して、どんなストロークを受け取ってきたか、どう満たされてきたかが「自分の人生をどう生きるか」という人生脚本の形成に大きな影響を及ぼします。

    こころの保健室ができること

    こころの保健室では人生脚本の書き換えができます。

    10人いたら10通りの人生脚本が存在します。

    みなさんのドラマは、禁止令が組み合わさり、ストロークや他の要素が組み込まれたオリジナルの脚本です。

    もし人生脚本が非建設的なものであったら

    いつからでも、何歳からでも遅いということはございません

    人生脚本の書き換えをしていきましょう。

    傾聴や認知の修正も大切ですが、それだけにとどまらず、幼い頃に内面で決断しものを再決断するカウンセリングを実施してきています。

    それは、なにか特別なカウンセリングをするというものでもなく

    いつものカウンセリングはすでに脚本に関わるものを自然と扱うことが多いです。

    これまで通りに、こころの保健室では内面から変わるカウンセリングで根本解決をしていきます。

    カウンセリングオフィスこころの保健室

    梶間久美子