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2024.12.03
- 愛着
愛着 (アタッチメント)③/ どうぞわたしを嫌ってください
群馬県伊勢崎市の公認心理師、心理カウンセラーの梶間久美子です。
こころの保健室ではクライアントさんの主訴に応じて【愛着のカウンセリング】をおこなっています。
もくじ
愛着に関係する主訴
主訴としてはどのようなものがあるのか、その一部をあげてみます。
●見捨てられるのが怖い
●人と愛情関係になると不安になってくる
●大切な人にいつか見捨てられるんじゃないかと思っている。そんな感覚がある
●自分が見捨てられないためならどんなこともする
●見捨てられないために相手にしがみつく
●一方で、「嫌われそう」と思ったら自分から先に相手を切り捨てる
●「嫌われたらどうしょう」と心配している
●嫌われるのが怖い
●嫌われた時の絶望感。生きていけないくらいの辛さ。
●居場所がない感覚(家族、友達、職場はあるが)
●不安や心配でひとりで過ごせない。
●孤独感がある
●空虚感がある
●情緒が不安定
●なにをしても不安
●そわそわ、落ち着かない
●寂しさがなにをしても埋まらない
●人目が気になる
●人混みがダメ
●人に合わせる
●自分の意見が言えない
●失敗するのを恐れている
●「どうせわたしはできない」と信じている
●対人恐怖症
●依存症 ― DV、不倫依存、セックス依存、恋愛依存、アルコール依存症、 買い物依存など
●摂食障害
など。
見捨てられ不安のからくり
この決断をもつ人たちは、幼児期に自分は愛されないと感じた体験や、見捨てられたという体験などから
「どうせ自分は愛されない」「愛情なんてない」「愛情なんて居心地いいはずない」「愛情なんて求めない方が楽」
などと自分に言い聞かせざるおえなかった。
その一方で、愛されることを願いそれを求め続けるものの、それと同時に「やっぱり最後には捨てられる」「ひとりぼっちになる」という不安でいっぱいにしています。
その不安から逃れるために、愛させそうになるとそれを避けたり、拒絶したりします。
愛情がもらえそうになると早く思い込み通りの結果になるように先に嫌われてしまう方法をとってしまうのです。
見捨てられた体験は、ほんとうにみなさん違います。
愛着は0歳~1歳半。遅くとも3歳頃のことです。
だからカウンセリングの場面で、はっきりした記憶がないことが多いですが、ここで幾つか例をあげてみます。
●例えば、「なんかお母さんは本当は私のこと好きじゃない」
●例えば、「お母さんに抱っこされてるけれど、お母さんはピタッと抱っこしてくれてない。隙間がある感じがする。だから自分で自分を守らないといけない(安全感がない)
●例えば、幼少期にお昼寝して、起きたら誰もいなかった(幼い子どもにとったらもの凄く怖いこと。なのがどうなっているのかわからない怖さ。)
●例えば、お母さんたちは、みんな仕事へ出ていく。自分ひとりぼっちで家に残された。(子どもにとったら「誰も帰ってこなかったどうしょう…」という恐怖心)
●例えば、お父さんとお母さんは夜に出かけてしまう。ひとりぼっちでお留守番。(本当は捨てられたんじゃないか。お父さんとお母さんが帰って来なかったらどうしょう…どうしょう…。強烈な不安感)
●例えば、家族で揉め事があると、お母さんが出て行ってしまう。帰ってくるけれど、何かあると出ていく。(幼い子どもは「お母さんに捨てられた」「今度は帰ってこないんじゃないか」という強烈な不安感、怖さを感じる)
●例えば、実際にお母さんが家から出て行って帰ってこなかった(実際は違う理由で家を出ていったけれど、幼い子どもにしたら「自分はお母さんに見捨てられた」という体験になることがある)
これはごくごく一部です。
こんなにふうに幼少期に体験した見捨てられ不安は、理屈でなんとかできるレベルのものではありません。
過剰な『キック・ミー』の心理ゲーム
見捨てられ不安が強い方は【キック・ミー】という心理ゲームを度々します。
キック・ミー(わたしを蹴って)は『どうぞわたしを嫌ってください』という心理ゲームです。
嫌われないように近づきますが、最後には自分が嫌われるようにゲームを進めていきます。
相手が離れていくように仕向ける。
なにかいつも不安だし、ストレスに弱い面もあるので、なにかストレスを感じると
「私のこと嫌わないって言ったじゃない」
「私とずっと一緒って言ってくれたじゃない」
「寂しい思いさせないよって約束したじゃない」
「俺がこんな思いしてるのに、どうしてわかってくれないんだ」
「俺がこんなに愛しているのに、どうしてこんなに寂しい思いさせるんだ」
「俺は自分の全てを注いでいるのに、なんで孤独にするんだ」
こんなふうになってしまいます。
更に、嫉妬心が強くなってきます。安心できないから。
相手の全てを支配したくなってしまうのです。不安で不安でたまらないから。
相手は嫌ってないし、寂しい思いさせてるつもりもない。寂しくならないように接している。
LINEだって、できるだけ早く既読返信してるし、会える時は会っているし、むしろ無理してまで会えるように調節している。
できるだけ言う通りにしてる。
なのに、度々文句を言われると、相手もだんだん嫌になってきます。
最初は嫌じゃなかったのに、キック・ミーのゲームが進行するにつれ、だんだん離れたくなるんです。
最後には、「頑張ったけどもう無理だぁ」「好きだったのに…もう嫌だ」と相手は離れていきます。
そうやって「やっぱり捨てられる」「やっぱり嫌われる」「やっぱり最後はひとりぼっちだ」と目的を達成してしまいます。
幼少期にした決断を味わい、どんどん強化していってしまいます。
このパターンは、ほんとうに辛い。
ゲームの終盤は、自分も相手も本当に苦しい、しんどい、辛い状態になります。
解決には【安全感】と【安心感】
愛着にまつわる困りごとは、0歳~18ヶ月、遅くても3歳くらいまでのことが関係しています。
それは、お母さんに抱っこしてもらった肌感覚からの安心感や温かさです。
愛着=肌感覚の守られる安全と、頼れる安心感といえます。
抱っこは愛着形成に深い深い関わりがあるのです。
3歳以前の肌感覚の問題なので思考が育つ前のことなのです。
なので愛着のカウンセリングをするときは、記憶がはっきりしていない場面を扱うことは多いです。
だから愛着に関わる悩みは考え方(思考)や行動を変えようとするだけではどうしても解決に届かないのです。
幼少期に体験した見捨てられ不安は、理屈でなんとかできるレベルのものではないからです。
肌感覚の守られる安全感・安心感を扱わなければなりません。
それは、人からそうしてもらうのではなく、自分の内側から湧いてくる感覚をためていきます。
人からもらおうとしている限り、心からの安全感や安心感は得られません。
それは、これまでやってきているから分かると思います。
人から得られるものなら、もうその嫌われる怖さは無くなっているはずです。
根本解決には、他人からや、物では無理なんです。
そして愛着を100%満たさせている人がいないこともお伝えしておかなければなりません。
抱っこしてほしい時に、毎回、毎回ピタッと抱っこしてもらえた人はいないからです。
お母さんにも現実の生活があります。
赤ちゃんのためにお洗濯したり、お掃除したり。
そしてお母さんも生理的な欲求があります。
ご飯を食べたり、おトイレに入ったり、お風呂に入ったり。
そんな時には、赤ちゃんが「抱っこして」と泣いていても
それに応えられない現実があるのです。
赤ちゃん側からしたら、自分のニーズにピタッと応えてもらえられないことが
この愛着の形成に関わっているのですが、
赤ちゃんにとって完全なお母さんはいないのです。
だから多かれ少なかれわたしたちは愛着の問題を抱えています。
ただ何らかの理由で、ニーズに応えてもらえない経験をたくさんしてきた場合や
見捨てられたような経験がある場合は最初にあげた主訴となることが多いです。
こころの保健室ができること
ここまで読んでみていかがでしょうか。
「わたしが日ごろ悩んでいる、あてはまる主訴があった」
「自分にはも、このつらいパターンがある」と気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
これまでいろいろやってみたけれど、なかなか困りごや悩みが改善されない方、
良いかと思うと、またもとの状態に戻ってしまう感覚がある方、
どうしても辛さが抜けきれない方は、もしかしたら愛着が関係しているかもしれません。
はじめてカウンセリングを受けたいという方はもちろんですが
いろいろ頑張ってみたけれど、なかなか抜け出せない方も
【愛着のカウンセリング】で、根本解決していきましょう。
キック・ミーで『どうぞわたしを嫌ってください』なんてしなくてもいい貴方になってほしい。
貴方が愛する人と、安定した関係を紡いでいってほしい。
どんな悩みでも、どんな困りごとでも大丈夫です。
わたしはあなたの悩みを評価しません。
大切に受け止めて、最良の支援を選びます。
カウンセリングは、少し勇気が必要なのは十分に分かっています。
いつまでも待ちます。
あなたのタイミングでお問い合わせください。
あなたが諦めないかぎり、私は諦めないのだから。
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梶間久美子は、愛着の無意識レベルのことから、嫌われる怖さ、居場所のなさ、劣等感、自信がないなどの自己に関するお悩みや、様々な人間関係のお悩みなどの根本解決を支援する公認心理師です。
あなたが諦めないかぎり、わたしは諦めない。
あなたをこころの保健室で待機しています。