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2024.09.26NEW
人生脚本(life script)③ / 人生脚本の形成(乳児期)
群馬県伊勢崎市の公認心理師、心理カウンセラーの梶間久美子です。
人生脚本シリーズ③です。
今回は、人生脚本の形成が始まる乳児期のことについて交流分析から解説いたします。
■発達年齢ごとの『飢え』
人生脚本の形成にあたり、私たちは発達年齢ごとに素材を変えています。
▼乳児期は『刺激の飢え』が強烈にあり、それをどのように受け取ったか、満たされ方が自分に合っているか、自分に合わないか、自分が満足するに十分か、自分には足りてないか、などが人生脚本の形成に影響を及ぼします。
こういったことは将来、自分が「世の中は安全で信頼できるところなんだ」と認識していくか
それとも、「世の中は不安で危険で信頼なんてできないところなんだ」となっていくかどうかにも関わっています。
▼幼児期は『承認の飢え』がでてきます。これは、自分の存在や意見や考え、やったことなどを認めてほしいという欲求です。
『承認の飢え』は将来、自分に対して自信が待てるかどうかに関わっています。
▼児童期は『構造の飢え』がでてきます。これは《時間の構造化》のことです。
自分の時間をどう使いたいかの欲求です。
自分の時間を心理的にどんなふうに使うかも、人生脚本に影響を与えます。
幼児期の『承認の飢え』と児童期の『時間の構造化』はおいおい解説したいと思います。
■刺激の飢え(愛着欲求)
乳児期の『刺激の飢え』とは【愛着欲求】のことです。
この時期に、「抱っこしてもらいたい」「くっついていたい」という愛着の欲求がでてきます。
乳児はスキンシップを中心とした接触欲求・肌からの刺激に飢えています。
この刺激の飢えが満たされているかどうかが健全な親子関係や安心感などに大きく関わっています。
『刺激の飢え(愛着欲求)』は赤ちゃんにしたら命を守るための欲求。
生きるために本能的に備わっています。
初めて聞く音ばかり、何の音かも全く分からない。
まだ目も見えない。見えるようになっても事実が何なのかも全く分からない。
生まれ出た瞬間から、お腹の中のあの守られて安全な世界とは別世界で生き抜く必要があります。
人にとって、事実が分からないってとても怖いことなんです。
何がどうなっているのか、あれは何の音なのか、この眩しさは何なのか、なにかチクチクするのは何なのか、「なんか怖いよ、抱っこして」と泣いても誰も来てくれないのはなんで?捨てられたの?もしかしてこのまま独りなの?こままだと生きていけない。
このように『刺激の飢え(愛着欲求)』が自分にとって満たされたか否かは、乳児にしたら生死にかかわる大変重要なものです。
抱っこ
授乳(授乳は親と赤ちゃんの肌と肌が触れ合います。目と目とも触れ合います)
触れてもらう
目を見て微笑んでくれた
このような『刺激の飢え』を満たしてもらうために赤ちゃん自身も、親や周りの大人たちに様々な働きかけをします。
人生脚本シリーズ②で解説した【ストローク】をもらうためです。
大人が抱っこしたくなるような匂い
泣くとこ
笑うこと
喉を鳴らすこと
体をバタバタと動かすこと
などなど。
もしかしたら、子育て中の方がこのブログを読んだら、赤ちゃんが満足できるのはどうやったらいいのか正解が欲しくなるかもしれません。
子育てが終わった方は、どうすれば良かったのか正解が分かりたいかもしれません。
じゃどうしたらよいの?
どうすれば良かったの?と。
答えは、「一人一人満足度、合う合わない感が違うので、観察してみてください」です。
その子、その子で、肌からの刺激のもらい方で合う合わないが違います。
愛情を渡しても、その子、その子で受け取り方も違います。
満足度も、一人一人違います。
上の子は抱っこを15分くらいで満足そうだったかもしれません。
だから、下の子もそうだろうと思って15分くらい抱っこしても、抱っこをやめると泣き出す。
下の子とっての『刺激の飢え(愛着欲求)』が15分では足りないのかもしれません。
抱っこの仕方もそうです。
上の子は胸と胸を合わせるような抱っこ(前だっこ)が良かったけれども、
下の子は、背中から抱っこする方が安心しているかもしれません。
だから、『刺激の飢え(愛着欲求)』は、こうすればいいんだよというのが無いのです。
その子、その子にとってのニーズが違うからです。
これだけでは子育て中の方や、子育てが終わった方も、自分を責めたくなるかもしれません。
けれども、あなたが自分を責めなくてよい大切な理由がありますので、このブログを最後までぜひ読んでください。
私は流行りや話題性が好きではありません。
赤ちゃんには○○すべき。
赤ちゃんには○○がいい。
こういう決めつけてみたいなのは、私は危険だなぁと考えております。
「抱き癖がつくから抱っこは良くない」という時代がありました。
「自立が大事だ!だから添い寝は良くない」生まれた時から親とは別部屋のベビーベッド。
泣いても、泣いても抱っこしてもらえない。それが流行りの時代がありました。
でもどうでしょう。
それが流行った時代に赤ちゃんだった方々は、『刺激の欲求(愛着欲求)』が満たされず、
愛着形成に影響がでて、大人になって問題を抱えているケースは多々です。
『この子がどうか』が最も重要。
上の子でもない、下の子でもない、いとこでもない、ママ友の子どもでもない。
『この子』
私は『この子』は『この個』と考えています。
余談になりますが、クライアント様の支援では、毎回『この方(個)』のニーズは何なのか、
『この方(個)』がどうなったら解決だと思うのかを最重要としています。
こころの保健室では、世間の流行りに左右させることなく、本質をしっかりと見極めながら
科学的な根拠の有るのもを通してクライアント様支援に努めます。
■乳児は肌で決断する
乳児期に、親の情緒が安定している状態の抱っこや、授乳、触れてもらったりの肌からの刺激や反応の中で愛着が形成させます。
愛着の形成は、肌感覚、肌からの刺激なのです。
『刺激の飢え(愛着欲求)』を満たされた乳児は、安心感や愛されること、愛される心地よさを肌から育んでいきます。
【乳児は肌で決断】しています。愛情や安全、安心感や信頼感を肌感覚で決断します。
自己については「自分は愛されている」「自分は愛される存在」「いるだけで愛される存在」
人間関係については愛着の形成から、安定した人間関係を育むことができる。
世の中にたいしては、乳児にとって親は後の世の中になりますので「世の中は安全」「世の中は信頼できる」
という認識ができていくわけです。
このように、乳児期は『刺激の飢え(愛着欲求)』を肌で決断しながら人生脚本を形成します。
■刺激の飢えを100%満たせる親(周りの人たち)はいない
乳児期の『刺激の飢え(愛着欲求)』を100%満たせる親はいません。
なぜならば、24時間、365日、赤ちゃんにずーっとくっついたり、抱っこできる親がいないからです。
親にも生活があります。仕事もあります。
それは、赤ちゃんを育てるために必要なことがたくさん含まれているでしょう。
親が仕事をしているからこそ、赤ちゃんは安定した環境でお世話を受けることができるでしょう。
お母さんもご飯を食べる時間が必要です。それは、母乳には欠かせない栄養になりますし、
赤ちゃんを抱っこするための体力を維持するために欠かせないものです。
お母さんもお風呂に入る時間が必要です。それは、清潔な体で赤ちゃんをお世話するのに欠かせません。
親は赤ちゃんから少しの間離れて、自分の時間を作ってのリフレッシュが必要でしょう。それは、落ち着いた気持ちで赤ちゃんがお世話してもらえるために大切な時間になるでしょう。
乳児側からしたら、完璧な親は存在しないものなのです。
『刺激の飢え(愛着欲求)」を100%満たされることは不可能なので
誰しもが何かしら愛着の問題は抱えているもんです。
赤ちゃん側も、それぞれ愛情の受け取りかたが違います。
それは、育て方が悪いとか、お母さんのお世話が良くないというものではありません。
心理学は優しさです。親であるあなたが自分を責めなくて良い理由が心理学には存在しますので、
どうぞこのまま受け止めてもらえたら幸いです。
■こころの保健室ができること
こころの保健室では人生脚本の書き換えができます。
人生脚本が非建設的なものなら書き換える必要があります。
10人いたら10通りの人生脚本が存在します。
みなさんのドラマは、禁止令が組み合わさり、ストロークや『刺激の飢え(愛着欲求)』や他の要素が組み込まれたオリジナルの脚本です。
もし人生脚本が非建設的なものであったら
いつからでも、何歳からでも遅いということはございません
人生脚本の書き換えをしていきましょう。
傾聴や認知の修正も大切ですが、それだけにとどまらず、幼い頃に内面で決断しものを再決断するカウンセリングを実施してきています。
それは、なにか特別なカウンセリングをするというものでもなく
いつものカウンセリングはすでに脚本に関わるものを自然と扱うことが多いです。
これまで通りに、こころの保健室では内面から変わるカウンセリングで根本解決をしていきます。
■次回について
人生脚本シリーズは、まだまだ続きます。
今は、人生脚本のどの角度から解説しようかと検討中です。
今後も、こころの保健室のブログを見にきてもらえたら幸いです。
カウンセリングオフィスこころの保健室
公認心理師 / 梶間久美子