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2024.11.07
- 愛着
愛着(アタッチメント)① / 生きづらさ
群馬県伊勢崎市の公認心理師、心理カウンセラーの梶間久美子です。
愛着のことでカウンセリングに来られるクライエント様が年々増加しています。
そこで、改めて【愛着】について解説したいと考えました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
もくじ
愛着とは
自己意識ができる前のこと
愛着は自己意識が芽生える前のことです。
自己意識というのは、「自分がどういうものなのか」というもの。
例えば、鏡を見て、さっき食べたお菓子が顔についていたを見て「恥ずかしい」と思う。
こういうのが自己意識というものです。
生まれてからしばらくしてから芽生えてきます。
【愛着】はこの自己意識ができる前のことです。
そして、人を木で例えるならば、【愛着】は木の根です。
生命を保つための2つの結びつき
①生物学的な結びつき
哺乳類として、赤ちゃんは生命を維持するために、おっぱいやミルクをもらわないといけない。
外敵から身を守らないといけない、危険なものから身を遠ざけなければいけない。
体温が下がりやすい赤ちゃんはお母さんとくっついていないと体温を守れない。
主に母親といった特定の保護者の類に、親を求める行動を取るのが生物学的な結びつきです。
②情緒的な結びつき
赤ちゃんは不安や恐怖、不快感を感じても自分ではどうすることもできません。
そういう時に親に抱っこしてもらいながら欲求を満たしてもらえる体験を通して、親に自分の不快感・恐怖・不快感を軽減してもらうことを学習していきます。
抱っこで、肌と肌の接触です。肌と肌が触れ合うことは愛着形成に欠かせません。
これが情緒的な結びつきをもたらします。
肌と肌の触れ合いから情緒的な絆が育まれます。
愛着が育つ
子どもが、不安・恐怖・不快感を軽減してもらえることを親に求めることができる状態。
親を安心感・安全感のよりどころとして捉えられる絆が生じる。
そうして愛着・アタッチメントというのが育つわけです。
主に母親が多いですが、それ以外の保護者の可能性もあります。
それは、一時しのぎのものではなく、その人との愛着が維持される【愛着の安定性】が大切になります。
愛着の選択性
特定の人との愛着が形成されることが【愛着】です。
「誰とでも」というのは愛着ではありません。
お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、みんな赤ちゃんを可愛がり、愛情を注いでいる。
だとしても、赤ちゃん自身は愛着対象を一人に選んでいます。
この『愛着の選択性』といのが大切になります。
大人になって「いつも彼氏が沢山いるんだ」「いつも彼女が沢山いるんだ」というのは
愛着の不安定さの現れかもしれません。
愛着行動
【愛着】は『愛着行動』として現れます。
①発信行動
『オギャー、オギャー』となく。なにかモニョモ二ョと喋る。声を出す。
お母さんなどを見て笑顔を見せたり、笑い声をあげたりする。
②定位行動
愛着対象と自分の位置関係に関わるもの。
お母さんを『見る』とか、ハイハイで近づいていくとか、ずっと追い続ける『後追い』。
③能動的身体接触行動
抱っこを求める。足元にしがみ付く。身体によじ登ってくるとか。
応答反応
これらの《愛着行動》というものを出すと、親の側は『抱っこしてほしいのね』と抱っこしてあげる。
子どもの愛着行動に対する親の反応を《応答反応》と言います。
(子)愛着行動 ⇄ 応答反応(親)
愛着形成には『目と目の触れ合い』もとても大事です。
赤ちゃんは、一生懸命にお母さんの目を見ているのに、お母さんはスマホをずっと見ている。
こんなことも愛着形成に大きな影響を与えます。
『私は、お母さんのスマホになりたい』と思っているお子さんもいるのです。
子どもは、親の応答反応を切に望んでいます。
ボンディング
子どもの愛着行動ではなく、
母親になったとか、父親になっただとか、親側が最初に子どもが生まれたその状況から
子どものことを「かわいい」「いとおしい」「大好き」「守ってあげたい」などと思う、子どもに対する絆が生じます。
これがボンディングというものです。
ボンディングは全員に生じるわけではなく、ボンディングが生じないことに苦しむ親もいます。
生きづらさの理由
このようにして【愛着】は形成されていきます。
それは、一時しのぎではなく、その人との愛着が維持される【愛着の安定性】が成されているならば
ストレスという風が吹いても、雨が降っても、たとえ嵐が来ても、その木は根元から折れることはないでしょう。
葉っぱが落ちたり、小さい枝は折れるかも知れないけど、【愛着】という根っこが土深くのびて、安定しているので大丈夫です。
健全な自己の核が形成されていることになります。ストレス耐性もあります。
けれども、発達初期の養育者との関係によって、何らかの理由で情緒的な絆が育まれずに【愛着形成に問題となった】【安定した愛着が形成されなかった】場合は、その後も生きずらさを感じるかもしれません。
発達初期に愛着の問題が生じると【基本的信頼】を獲得することができなかったために
・自分は他者から信頼されない
・他者は信頼できない
という気持ちで生きていくことになるかもしれません。
これが生きづらさの基です。
・拒絶されるんじゃないか。拒絶されることがものすごく怖い。
・拒絶されることは人生が終わったような怖さ。
・不安でいっぱい。なんだかわからないけど不安なんです。
・いつも緊張していて安全じゃない。
・ソワソワ落ち着かない。
・嫌われるんじゃないか、嫌われることがものすごく怖い。
・これという人にしがみ付く。
・自分が相手から好かれると拒絶したくなる。拒絶する。
・人との距離感がわからない。ベッタリか切り捨てる。
・空虚感。
・虚しい。
愛着の問題では、それぞれの訴えがあります。
ただ決して勘違いしないでください。愛着の問題=親が悪い。ではありません。
そして、愛着の問題=自分が悪い。でもありません。
どの親も、親なりにその時にできる子育てを精一杯してきていると私は思っています。
子どもの頃のあなたも、愛着対象に一生懸命に関わりを求めたに違いありません。
確実に言えることは、あなたと愛着対象とには生物学的な結びつきがありました。
なぜならば、あなたが今、生きているからです。
生物学的な結びつきが無かったら、哺乳類は死んでしまいます。
今あなたの生きづらさに大きく影響しているのは情緒的な結びつきの部分といえます。
情緒的な絆の部分については『愛着のカウンセリング』で解決していきます。
肌と肌の接触から赤ちゃんは安心感と守られる安全を感じます。
けれども、もしかしてお母さん側の愛着の問題により、子どもが抱っこしたくないとか、子どもと肌が触れるのが不快だというケースもあります。
愛着行動をしたけれど、親からの応答反応がなかったとか、応答反応が少なかったとか、
お母さんになったけれど、「子どもがかわいいと思えない」ボンディングが生じなかった親だったかもしれません。
だとしても、親や子どもの頃のあなたが悪い人ということにはなりません。
俗では「毒親」「親ガチャ」とか言いますが、私はそういうの好きではありません。
それは、自分の人生を自分で変えられることを知らない人のセリフだと思っています。
【愛着のカウンセリング】こころの保健室ができること
こころの保健室では《愛着のカウンセリング》を実施しています。
赤ちゃんの頃のことは、赤ちゃんに戻ってやり直さないと解決しないんじゃないの?
と思う方もいらっしゃると思います。
あなたが何歳であろうと【愛着の問題】は解決していけます。
あなたの中に『安全感』と『安心感』を育んでいきます。
今は不安定な自己かもしれませんが、『愛着のカウンセリング』で健全な自己の核が形成されていきます。
なぜ、そんなにきっぱりと言えるのか。
それは、愛着のカウンセリングは科学的な根拠があり、その技法には裏付けが存在するからです。
子どもを抱けない、子どもを愛せない。とか、
自分の悩みは愛着が関係しているかもしれない。
人間関係が壊れてしまう。人との関わりに悩んでいる。
寂しいけれど、人との関わるのがなんだか怖い。
とても孤独だし、このままだと将来は孤独死になるんじゃないかと悩んでいる。
愛着のことかどうか自分ではわからないけど、とにかく悩んでいるんだ。
という方がいらしたら、お気軽にお問い合わせください。
解決に向かえる何かがあるはずです。
一緒に探します。一緒に考えていきます。
そしてインナーチャンジングセラピーでできることが見つかり次第、精一杯に努めさせて頂きます。
あなたが諦めないかぎり、わたしは諦めない。
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梶間久美子は、愛着の無意識レベルのことから、嫌われる怖さ、居場所のなさ、劣等感、自信がないなどの自己に関するお悩みや、様々な人間関係のお悩みなどの根本解決を支援する公認心理師です。
あなたが諦めないかぎり、わたしは諦めない。
あなたをこころの保健室で待機しています。